高野先生の腕のなか



ちょっとくらい、ここで休んでいても良いだろう。


瞼を伏せて、高野を思い浮かべる。


やっぱり、ダメだった。


高野を好きな気持ちは、隠せないし捨てられない。


だってこんなに、私は高野を好きなんだ。


高野の腕のなかの居心地の良さを、照れ笑いや大人びた表情を…、今まで私だけのものだと思っていた全てのことを、もしあの女性が知っていたとしても、それでも私は高野を知ってしまったから、あの時高野に触れてしまったから、


私は高野を好きでいたい。



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