高野先生の腕のなか



「掴まってて」


言葉を発する間もなく、高野は駆け出した。


肩と脚に手が添えられており、姫抱きされている、と理解する。


見上げると、高野の顔。


高野の胸は温かく、数日前と変わらない。


私はそれに心から安堵した。



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