高野先生の腕のなか



でも違う。


この生徒は俺の気持ちを知らない。だから今の質問が出たわけだから。


「どうって……」


なんと答えよう。


口を濁していると、彼は苛ついたように声を荒らげた。


「山崎さんを、異性として意識しているか、ってことです」


まるで保健の教科書に書いてあるようなことを言う。



.
< 265 / 357 >

この作品をシェア

pagetop