高野先生の腕のなか



代わりとしての俺の存在意義。それは、山崎さんの気持ちが整理できるまで。山崎さんが壊れてしまわないようにすることだった。


だが、これはどうだろう。山崎さんのことを好きな人が現れた。山崎さんに何もかも釣り合う相手が。


俺の存在は少なからず邪魔になるだろう。


山崎さんの中に″代わり″としての俺がいる限り。山崎さんが″代わり″の存在に頼ってしまう限り。


ゆっくり、数学教諭室への途を辿る。



.
< 270 / 357 >

この作品をシェア

pagetop