高野先生の腕のなか



「それは、災難ねえ。高野先生優しいから」


新しい湿布を取りながら、三木先生が言った。


「私は全然平気なんですけど」


「全然、ということはないでしょう。高野先生のお手伝いがしたいんだったら、早く怪我を治すことね」


私を戒めて、ぱたりと棚の扉を閉じる。


私は、視線を落として足首を睨んだ。



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