高野先生の腕のなか






ガシャーン。


前触れもなく響いたその音に、高野はハッとして私を放した。


咄嗟に二人、音のした方を見る。


「あ……」


そう漏らしたのは前述の音を出した本人だった。


いつの間にか開かれていた扉の前に突っ立って、私たちを見て固まっている。



.
< 293 / 357 >

この作品をシェア

pagetop