高野先生の腕のなか



絢香がこちらを向いていた。


その瞳には恐怖のような、憎悪のような、悲嘆のような色が浮き沈みしている。


と同時に、手には文房具のカッターが握られていた。


「絢香……?」


背中を嫌な汗が流れる。


嫌な予感しかしないが、きっとそれは当たっている。



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