高野先生の腕のなか
山崎さんは俺のことを好きなのだと思った。いや、好きだと思い込んでいるのだと。思えば弱味に付け入るように関係を持ったのだから、それも仕方がなかった。
もし、ここで山崎さんを突き放してしまったら、また過ちを繰り返してしまう。
本当に、山崎さんには迷惑な話だ。全て俺の自己満足。全て俺の自分勝手。
それが…。
俯く視界にネクタイが映る。山崎さんにもらった水色のネクタイ。
それが、いつからだろう。山崎さんを守りたい、と思ったのは。
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