高野先生の腕のなか



私のことを話しているんだよね?


じゃあ、今、何を見ているの?


「勝手に強い子だって、思ってた。だから俺は、この子を一人にしちゃいけない、と思った」


高野が私を見た。今度は、本当に、見た。


「ムカついた?上から目線だって」


「ううん、」


「嫌なら、やめていいんだよ」


高野が立ち上がって、椅子のスプリングが鳴った。



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