高野先生の腕のなか



「それ、好きな子にフられた時に言う台詞だよ」


くすりと笑うと、神山くんはすごく驚いた顔をした。


直後に、廊下をパタパタと走る音が聞こえた。


「恵理ー!何してるの、早く……」


絢香だ。私たちを見ると、次第にその歩幅を縮めていった。


「え…、え?」


私と神山くんを交互に見て混乱している様子の絢香の腕を掴んで、私は次の授業の教室に向かって歩き出した。



.
< 355 / 357 >

この作品をシェア

pagetop