高野先生の腕のなか
「焦らなくて良いのよ。無理に誰が好きか、なんて決めなくて良いの。言ったでしょ?見る目は変わるの。その時その時の気持ちに嘘をつかなければ良いのよ」
そう言い微笑む三木先生は、まるで女神のように私には映った。
「先生、あの、これからも相談して良いですか」
「ふふ、いつでもいらっしゃい」
会話が一段落して、三木先生は、さて、と紙がとめられたバインダーを取り出した。
「それじゃあ、クラス、出席番号、名前を教えて?」
言われたまま伝えると、先生は自分で書いた文字を見て「あら?」と声をあげた。
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