二人の壁は
「あっ…ここの角曲がったら、家なの!」
あぁ…安心する
「そうか、良かったな」
あたしを嬉しそうな顔を見て笑ってくれる
「うん!」
あたしも笑い返す
「やっぱ…あんた可愛いな」
「なっ…可愛くない!」
何か…この人わざとらしいような からかおうとしてる気がする
「この家か?」
「そっちは葵の家…あたしの家はその隣だよ」
「へぇ…じゃ、ちゃんと送ってから帰る」
あっ…と
「ありがとね…」
あたしは下を見る…
「…どうした?」
「あの…今度ちゃんとお礼したいから、番号教えてもらっても…いい?」
あのままだったら、あたし…親に電話するしか…
「別に…良いけど?」
「じゃあ…」
携帯をバックから出す
ん?
何か光ってる…
「電話来てたのか?」
「あー…うん」
開いて見ると…葵?
しかも何十件も…
「取りあえず…赤外線でいい?」
「電話…いいのか?」
「うん、先に交換しちゃおう」
その方がいいし…
待たせられないし
「ふーん…」
あたしは、太貴さんと番号を交換して見送った