二人の壁は

あたしは自分の状況を理解するのに…少し時間がかかった


理解すると…


「あ…葵?何してんの…」

今絶対顔赤いよ


「黙れ…」


黙れって…それに


「苦しいよ…」


葵があたしを抱きしめる力が異常に強い…


「…お前はいつの間にか、化粧しだして…可愛くなりだして…お前を見る男の目にイライラして…」


化粧は高校に入れば皆するし…あたしが可愛くなりだしてって…なってないし…


「お前に八つ当たりしたり、何にも言えない自分にモヤモヤしてた」


…モヤモヤ、か


「どんどん大人になっていくお前を見て…」


あたしを見て…


「お前と俺との間にある壁は…誰よりも厚いと思った」


あっ…それあたしと同じだ


「お前は俺を避けるようになったと思った…」


葵…それじゃまるで


「俺は…お前が好きだ」


「………」


あたしを離して、目を見て言った…


「返事は?」


返事って…


「えっと…あたしも好き…かもしれない」


「は?」


怖い…睨まないでよ


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