†黒ウサギの仕事†
「……黒ウサギ、何を迷ってるんだ」
リーダーは僕の顔を見てそう言った。
リーダーは何でも分かっちゃう。
「いえ…。何でもないです」
「何でもない訳ないだろ!言ってみな?」
「すみません。……今回の依頼のターゲットが僕の昔の知り合いで…それで…なんで身内同士なのにとかいろいろ気になっちゃって…」
僕はリーダーに話した。
「黒ウサギ、お前は人間だがもう人間とは呼べない。人間が嫌いなんだろう?」
「はい。人間は嫌いです」
「お前を見捨てたのは誰だ?」
「人間です」
「嘘をついたり裏切る生き物はなんだ?」
「人間です」
「俺達は何なんだ?」
「僕達は……悪魔…」
「そう。俺達はもう人間じゃない。悪魔なんだ。素晴らしいだろう?」
リーダー。僕は…何を気にしていたんだろう。
「悪魔は『ココロ』を持たない。俺達は人間なんかに戻れない。俺達はずっとこの仕事をするんだ」
「…………」
「人間なんかにココロを動かされるな。お前は悪魔ならばココロを捨てろ」
僕は黙ってしまった。