好きをギュッとつめこんで
 自分の家と同じように間取りを把握した家。

 何度も何度も行き来した。

 それもあと少し。


「何が食べたい?」

「おいしいもの」


 いつものこと。



 満腹になったら、コタツの中でゴロゴロしながらテレビで笑って、お風呂にも入って、またゴロゴロして。


 いつものこと。


「明日だね」

「そうだね」


 いつものことが、当たり前のことが、そうじゃなくなる日。


 私の部屋はダンボールだらけ。

 引越しは、明日の10時。


 私は就職し、彼は院に進む。
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