好きをギュッとつめこんで

「悲しいのは、寂しいのは私だけなんだ」

「なんでそうなる」

「だって、不安じゃないって言った」

「言ってないし」


 背中から回ってきた腕が、ギュッと抱きしめてきた。


「俺は男だからなぁ、弱音吐いちゃダメだからなぁ」

「この前、アルバイト先の愚痴言ってたじゃん」

「えー?それはノーカンということで」


 コタツより、彼の腕の中の方がなんだかホッとする。

 心はきゅうとするのに、苦しいわけではなく、なんでこんなにも心地がいいのだろう。


「大丈夫、大丈夫。不安になるのは好きだから。不安だというのなら、代わりに好きだと言って欲しいなー。今から不安は禁止。好きに言い換えること!いいか?」

「勝手なんだからさ……」


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