好きをギュッとつめこんで
 不安で不安で、寂しくて悲しくて、たまらないのに。

 あっけらかんという彼に、なんだから腹が立った。

 すると、ギュッと抱きしめてきてた腕に力がこもった。


「すっごく好きだよ。どうしようもなく好きだから、本当ずっと一緒にいたい。だけど、俺ら夢のために頑張らなきゃいけないからさ、負けないようにしないとな」


 彼が、顔を私の首元に当ててくる。

 彼の意図に気づいた。

 ああ、君らしいなと、いつもの見栄っ張りだ。

 不安だなんて口が裂けても言わないんだ。

 好き=不安なんだと、私に悟れと言っているんだ。

 意地っ張り。


「今なら泣いてもいいぞ。遠くで泣かれても、すぐに抱きしめにいけないからな。今のうちに泣いておけよ。今ならいくらでも抱きしめてやるぞ。大サービスしてやるぞ」

「……好きなのは一緒?」

「一緒。俺のほうが好きだけど」

「私のほうが好きだもん」

「俺に勝てると思ってんのか?今から俺は研究と恋人になるんだぞ」

「私だって、社会人になるんだから。私のほうがずっと……」

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