紙のピアノ。
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───…
『ねぇ、いつもここでなにしてるの?』
『……を』
『…え?』
『ぴあのひいてるの』
──覚えている限り、俺の一番古い、見知らぬ人物との会話の記憶。
………そして、初めての感情が芽生えた日。
あの頃の感情が何だったのかは、今でも分からない。
でも、今はもう“必要無いもの”となってしまった感情──。
──紙のピアノ。
…それでも君が笑うから、