紙のピアノ。
廊下の窓から、綻びかけた…というよりもう少し咲き始めている桜の木が見えた。
この桜が完全に開花したら、入学式だ。
──一年が入ってきたら、また面倒事が増えるな。
と考えながら、俺…林堂響介は、生徒会室へ急いだ。
本来なら、今日は春休みで、学校は無い。
しかし俺はHR委員…しかもそれを束ねる、学年委員長であるが故に、こうして春休みまで仕事をしているのだ。
もうかれこれ三日続けての仕事だが、この手持ちの書類を生徒会に提出すれば、大方仕事にケリがつく。
そう考えると随分気が楽だ。
俺は窓から目を離すと、階段へ向かった。