紙のピアノ。
階段を上る途中、上からひらひらと何かが舞い降りて来た。
「…なんだ?」
階段の角を曲がり、思わず上を見上げた俺は、階段に座り込む人影を見つけた。
「──…っ」
途端、ぶあっと強い風が吹き、再び何かが宙を舞う。
それと共に、どこかで咲いている花の花びらが舞い込んで来た。
「─、──、…─」
俺の耳に届いたのは、風が通り抜ける音と──何かの曲。
「……、─…」
そしてそれは間違い無く、この目の前の人物…もとい少女から発せられていた。
俺は舞い上がった紙を一枚掴む。
案の定、楽譜だった。
「……おい」