譲る葉
「お主の願い…実は、二つあるな」

「え?」

「母親が無事に回復することと、お主に仕事が見つかること」

―確かに…

その二つが実現することが

私の願いだ。

「だが、ダメじゃな。叶えられる願いはひとつだけ。
どちらを選ぶ?」

そう告げる老人。

答えは、すぐに決まった。

「もちろん…お母さんを回復させて欲しいです…仕事は、また頑張って自分で探します」

「そうじゃろうな」

老人は、うんうんと頷く。

「だが、難しいな。お主の母親の回復というのは」



神というのは、どこまで非情なのだろう。
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