譲る葉
「どうしてですか?」

自分から話をフっといて、それはあんまりではないだろうか。


「お主の母親は、たった今亡くなったからじゃ」






私の中で、何かが崩れ落ちた。

もう足元が崩れ落ちるどころではない。

体全部が、粉々に砕かれて

冷たい風に吹かれていくような


虚無感


「うそ…」


「嘘ではない。時間にして、およそ二十秒前じゃ。信じられないぐらいあっけなく、簡単にな」


“人間とは、脆いものじゃな…“

老人の付け足した言葉の意味すら理解できない。





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