譲る葉
「お願いします、神様」

お母さんを、どうか幸せにしてください―

と、心のどこかでこっそりと祈っておいた。

「そうか」

神様は深いため息を吐き出す。

「お主もせめて最後ぐらいは、全く痛みも苦しみもなく逝かせてやるとしよう。今すぐに布団に入って眠りにつけ。そしたらそのまま…目覚めることはない」

寝るだけ―

「それだけでいいんですか?」

と、聞いたら

ああ、とだけ返ってきた。

ある意味理想の死に方だ。

寝ている間にポックリ逝けるだなんて。

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