譲る葉
「どうして…」

「だから、言ったじゃろう」

後ろから聞こえたのは神様の声。

どこか、寂しそうだ。

哀れんでいるようにも聞こえる。

「お主の母親は、あのまま死んでいったほうが幸せだったのじゃ」

嘘だ。

「そんなの…お母さんが、私より先に死んでいいわけないよ…」

「何を言っとるのじゃ、お主は」

「だって…お母さんは、私のせいで…私なんていないほうが…」

「あの母親の様子を見てもそう思うのか?」

神様は、お母さんのいる窓の方を指し示す。

シワシワの指が向かっている先には

涙も鼻水も垂れ流し

泣いているお母さんがいる。
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