譲る葉
「お主の母親は、お主を愛していた。それも分からんのか?」

そうだ…

確かに、お母さんは優しかった。

でも私もお母さんが大好きで、

長生きして欲しかった。

私なんかのせいで、人生損をして欲しくなかった。

「お主の母親は思っていた。お主のいない人生など、死んでいるのと同じだ。命を取り留めたところで、お主が…大切な娘がいなければ意味が無い」

何も言い返せない。

「親とはそういうものじゃ。子が自分より長生きすることが、最高の親孝行なんじゃよ」

そして神様は、最後にこう付け加えた。

「まあ、今更遅いがな」


そうですよね…


そう、ぽつりと呟いた。

それしか、呟けなかった。
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