譲る葉
「もう、私仕事辞めたいよ」

ある日、私はあなたにこう打ち明けました。

あなたは、私にたいした理由も聞かず

「いいよ」って

ただそれだけしか言いませんでした。

おかあさんは、本当は、私が夜トイレでこっそり泣いていたのを知っていたのかも知れません。

私と違って、鋭くて、何でもわかる人だから

本当に、大好きです。

でも、もう一度言わせてください。

「ごめんなさい」

何億回言っても言い足りないであろうこの六文字を

あなたの鼓膜に響かせる事が出来るチャンスは

この時点で、後何回残されていたんでしょうか
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