譲る葉
私の体には、何の異常もみられなかった

妊娠とかしなくてよかった。

お母さんには、言ってない

とても言えない

私はなるべく上司と目を合わせず

残りの十日を過ごした

最後の三日間ぐらいは


もうすっかり放置された

誰からも何も話しかけられない

仕事も来ない

先輩達の愚痴を黙って聞いていた

無言で椅子を蹴っ飛ばされたのが

唯一のコミュニケーションと化していた。
< 28 / 131 >

この作品をシェア

pagetop