譲る葉
もう、朝早く起きて

押しつぶされそうな満員電車に揺られて

長い上り坂を登って会社に行くことは無い。

着いたら着いたで

散々文句や嫌味を言われて

悪いことなんかしてないのに怒られることも

延々と耳に食い込む先輩達の愚痴を聞くことも

いらいらした上司を見ることも無い

お昼御飯もちゃんと食べられるし

真夜中に人影に怯えながら

泣きながら歩くこともない


今の生活は

天国のように思えた

お母さんの苦労も知らずに
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