譲る葉
本当に、いきなりだった。

私にとっては。

お母さんは、いくつかのパートを掛け持ちしている。

スーパーと、本屋さんと、雑貨屋さんと…

もしかしたらもうひとつあったのかもしれない

そういえば

お母さんは土曜日も日曜日も祝日も

家にちっともいなかった

ただ私のために

御飯を作り置きしてくれたり

お金を置いたりしてくれてた。

私が引きこもり気味で

あんまり外に出たくないのを

知っていたから

お金を置く時はいつも

「ごめんね」

そう一言書いた手紙が置かれてた。
< 34 / 131 >

この作品をシェア

pagetop