譲る葉
お母さんが倒れてから

一ヶ月近くが過ぎた。

病院から電話があったときは

心臓が止まるかと思った。

嫌な予感しかしない

「もしもし…」

自分でも声が震えるのが分かる

「もしもし、娘さん!?お母さんが、意識を取り戻しましたよ」

「本当ですか!?」

「はい、今すぐ来てあげてください」

この受話器から、嬉しい報告が聞けた日は

いつ以来だろう。

私は掃除機を放っぽりだし

母親のいる病院に向かった。
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