譲る葉
『あのですね、その結果なんですが…』

「はい…」

それでも、少しの期待を込めてしまう。

だからこそ、辛いというのに―


しかし

『採用が決まりましたので、またご連絡差し上げますね。おそらく、来週からの勤務になると思います』

一瞬、自分の耳を疑った。

採用?

「え、あ、はい!あ、ありがとうございます」

『はい、それではまた』

ガチャッ

ツー…ツー…


小躍りしたい気持ちになった。

やった。

やっと…アルバイトだけど、仕事が決まった。

これで少しは、お金が稼げる。

これでほんの少しは、お母さんに恩返しが出来るかもしれない。

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