譲る葉
せめて、来月末までやらせて欲しかったな…

言えなかったけど。

「…そうですか」

ようやく発した声は、自分でも驚くぐらいに

掠れ切った声だった。


そして私は、たった三日で、新しい職場に背を向ける。


その日の帰り道。

交差点の信号がいつにも増して、

やけに長かった。

大型トラックがブンブン走ってる。


あの中に

飛び込んでしまいたい…


ちょっとでも気を抜いたら、

私は身も心も

バラバラのミンチになるのだから。
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