譲る葉
何とか、家に帰っていた。

玄関先で、へたりと膝をつく。

自分でも笑ってしまうぐらいショックだったのだ。


「……はぁ…」


焦点の定まらない目は

ただただ壁を映していた。

じい…っと見ていると

妙に染みが目立つ。


―そうだ、掃除でもしよう。


とにかく今は、何か動かないと


壊れてしまいそうで―

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