譲る葉
そのとき、私は掃除機をかけていた。

プルルルル…

かすかに、電話のコール音が聞こえてきたので

私はスイッチを切って、受話器を取る。

「はい、もしもし…」


電話の相手は病院からだった。

最近、何だか会いづらくなって、お母さんのところに行ってないから、寂しがってるって事なのかなって―

私の頭は、バカでアホなうえに呑気だった。


「え」


受話器の向こうから聞こえてきた言葉は

私を、更に闇の底へと引きずり込んだ…
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