譲る葉
ガチャ…

「…はい…も…もしもし…」

声が震える。

怖い。怖くて仕方ない。


『お困りのようじゃの』


電話の向こうから聞こえてきたのは、

いつも病院の人の声じゃなかった。

この声は…前に聞いたことがある。

いつかかかってきた、変な電話だ。

深く沈んだ、重みのある老人の声。

イタズラ電話だと思ったまま、忘れていたが。

「…あなたは?」

こんな時間にイタズラ電話なんて、あまりにも非常識すぎる。

…常識的なイタズラ電話なんて存在しないだろうけど。

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