譲る葉
『おーっと!待った待った待った!』

という、やたら大きい声が飛び出してこなければ、

本当にそこで電話を切っていた。

『本当じゃよ、信じるかそうかは別だが、ワシは神じゃ。全知全能のな』

再び耳に当てた受話器から聞こえた台詞はそればかり。

「…そんなこと言われましても…」

おいそれと信じられるわけがない。

別に、普段から神様の存在を否定しているわけじゃないけど…

だからといって、いきなり家に電話をかけてくるとは到底思えないし、信じられない。

「…証明できますか」

このときの私が、やけに強気だったのは

例えイタズラかもしれないけど

こんな時に誰かと喋れて

少し落ち着いたからなのだろうか?
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