はらり、ひとひら。
『私が見えるということは貴様、やはり桜子だな』
「ぁっ─!」
影のような体の中心から、グワッと大きな腕が伸びて私の首をつかんだ。
いとも簡単に大木に押し付けられ、背骨がきしむ。吐きそうな圧迫感。
夢だ、これは夢だ!覚めろ早く、覚めてよ!
「──っぅ、私は・・・桜子じゃない・・・ってば。第一、誰よ、それ…!」
声が掠れる。
息が苦しい。
なんとかして逃げなくちゃ、命が危ない。
首にかかった腕を取ろうと、懸命になるが・・・。