はらり、ひとひら。


雨はまだ、止みそうにない。ワイパーが雨を繰り返し弾くさまを、じっと見つめていた。


「噂によるとな…神崎の家はけっこうお金もちらしいぞ」


失礼のないように。ぼそりと、矢野先生は耳打ちした。確かに雰囲気は御曹司みたいなところあるけど…


止めた車から降りて先生に着いていくと私は仰天した。


門でかっ…!?…お寺なのかな?大きな木の門に塞がれて、先がまったく見えないがこんな門がある家が実在するなんて。


え、これどうやって開けるの、てか開くの?


緊張していると、おもむろに門があいた。



白っぽい着物を着、髪をひとつにまとめた綺麗な女性が姿を現す。…お母さんだろうか。


「あぁ、どうも。真澄くんの担任の矢野です。お加減どうでしょうか。連絡がありませんでしたので、失礼ながら伺わせて貰いました」


「ぼっちゃま…いえ、真澄様は現在お休みになられております。申し訳ありませんがお引き取りを」


え…!

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