はらり、ひとひら。
そんな。いくらなんでも学校にも言えないなんておかしい。やっぱり何か妖関連で命に関わる重大なことが…
「あの、何かあったんですか?」
「申し訳ありません、どうかお引き取り下さいまし」
「厚かましいってわかってます。でも教えてください、神崎くんは大切なお友達なんです、お願いします…!」
頭を何度も下げると、女性の戸惑う声が聞こえた。
「椎名…」
先生の宥める声に顔を上げると、不意に足音がした。一瞬妖かと思ったが、…それは待ち焦がれた彼の姿で。
「神崎くん…!」
「・・・先生、…し、椎名さんも」
藍色の着流しを着て駆けて来た彼に、ひどい安心感で肩の力が抜ける。神崎くんは私を見て驚いた顔をしたけど、優しく微笑んでくれた。