はらり、ひとひら。


着物の袖から見える左腕には包帯がぐるぐる巻いてあった。


「神崎君・・・その腕、どうしたの?」


なるべく気に障らないように控えめに訊ねた。


「あぁ、少し火傷しちゃって。大したことないよ」


でも包帯巻くほどの火傷って・・・。


「で、これ休んでる間溜まったプリント。あと、九条が気を利かせてノートのコピーくれたから、明日来れたらあいつにも礼言ってやってくれ」


「助かります。ありがとうございます」


神崎君はさっと左手を出して受け取る。


あ。…神崎君、左利きだ。


そういえば、ハンカチ拾って貰ったときも左手で渡してくれたな。


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