はらり、ひとひら。


「今日はわざわざすみませんでした。椎名さんも、来てくれてありがとう」


「ううん、気にしないで。それより神崎くん、明日は学校来れる?」

「うん。行くよ」



どうにも不安だった。怪我も、休んでいた理由も。…もしかしてその怪我に長期間休んでいた理由があったりしたら─。でも、あまり聞いて欲しくなさげな顔色だったから、それ以上は何も聞けなかった。


「じゃあ、帰るか。また明日な、神崎」


「またね、神崎くん」

「はい。…あ、椎名さん」



踵を返そうとした時だった。ふわりと腕を掴まれて時間が止められたみたいに動けなくなった、が、錯覚だった。


「髪、糸ついてたよ」

「え、わ、ありがと!」


距離が近くて、着物姿の神崎くんがなんだか新鮮で、やっぱりドギマギしてしまう。そんな私の姿に先生と彼は声をあげて笑った。めちゃくちゃびっくりした…!



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「神崎、元気そうでよかったな」

「はい」







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