はらり、ひとひら。


**************


「何がどうしたんだ?」


私は先生に理科室に連れて来られた。薬品の匂いが鼻についた。


「な、なんで理科室なんですか?」

「オレ、理科担当」


「あ、そうでしたっけ・・・?」

「忘れるなよ。まったく…担任だろー」


そうだった気がする。先生は「他の奴らには内緒な」と、購買の袋から取り出したオレンジジュースを私にくれた。よく冷えたそれに愛を感じる。な、なんて生徒思いなんだ…!


「あああ先生ありがとうございます…」


「人影見えて、お化けかと思ったら椎名がうずくまってんだもんなあ。けっこういろんなやつに見られてたぜ」


「うえ、まじっすか…」


「まじまじ」

先生はけらけら笑う。意外と人いたっぽいし…最悪だ。恥ずかしい。やっぱり別のとこに行けばよかった。



「で?何があった?」









< 121 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop