はらり、ひとひら。
精一杯声を張ると、辺りが白く閃光する。
強い光に呑まれた妖怪は、悲痛な悲鳴をあげ跡形もなく消え去った。
「なにが…起きたの」
どしゃり、と地面にしりもちをついた。妖怪の手から解放された私は、木にもたれて何度も咳き込む。
同時に今、何が起こったのか整理しようとしたが、何もかもが白昼夢のようでわけがわからなかった。
本当に何もわからない。
「っ…」
ただただ恐ろしかった。あるのは、ここに居てはいけない、ここに二度と来てはいけないという確信だけ。
足早に森を駆け抜けた。涙がぼろぼろ零れて視界を邪魔した。
…今みた光景は、夢じゃない。