はらり、ひとひら。
「し、しょ・・・」
いつもの小さな小狐の姿ではなかった。泣きたくなるのを呑み込み、必死にもがいた。
「そいつを放せ。その娘は私のものだ」
「おお?貴様、よく見れば化け狐の白狐ではないか」
この妖、師匠を知ってる?
「暫く見ないと思ったが、生きていたか。浮気は関心せんなあ」
牛面はケタケタ笑った。
─浮気?
「たわけ。とっととそいつを放さんと貴様、食いちぎるぞ」
「永遠と昼寝をしていればよかったものを。今の貴様など恐るるに足らん!」
牛面は、私を抱えたままふき飛んでいく。