はらり、ひとひら。
ゆっくり起き上がると、自身の首に違和感を感じる。─首輪だ。ぐっ、と鎖を引っ張られ転倒する。
「うあっ」
「あぁ、美味そうだ。喰ってしまうのが勿体ない」
「あんた・・・血の匂いを嗅ぎ付けて家にやって来たの・・・!?」
「その通りだ」
牛面の口元から涎がこぼれる。
…捕まるなんて、油断した。一瞬でも師匠と離れるんじゃなかった。
「その怯えた顔、たまらんな。暫くはこうして遊んでいられそうだ」
妖は愉快そうにケタケタ笑う。腹の底から嫌悪感が湧き上がる。何で今日は、言霊が使えなかったんだろう。