はらり、ひとひら。
それからはあっという間だった。
「─去れ」
牛面に深々と刺さった刀を一気に抜くと、妖の悲鳴ごと飲み込んで消し去ったのだ。な、何が起きてるの。
「怪我ない?椎名さん」
「う、ん」
何が何だがさっぱり分からなくて、肝心の言葉が出てこない。私は頷くことしか出来なかった。
「ちょっとごめん」
神崎君が私の前にしゃがみ込んで首の鎖を取り去ってくれる。指が首や頬に触れるたびビクっとしてしまい、心臓がうるさい。締め付けから解放された首をさすっていると、彼とおもむろに視線がぶつかった。
「驚かせちゃってごめん。それから・・・全部、話すよ」