はらり、ひとひら。


パタンと、襖が閉まる。懐かしい匂いがした。

お母さんに促され、私は
向かい合う形で座らされた。



「杏子。正直に言ってね?」




ドクドクと、鼓動が早まる。





「─見たのね?」


「っ」


今、なんて…。


伏せていた顔を上げると見たこともないくらい真剣な表情の母が、そこにいた。



「妖怪を、見たのね?」

「──!」




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