はらり、ひとひら。


「蓮池に住む女鬼がつける呪いだろう。あの辺りのことはよく知らぬが非常に気性が荒い鬼だと聞いている」

鬼の、妖。


「他の祓い屋じゃ、手が付けられない程の気の荒さだった。瘴気が満ちているから常人はまず近づけないけど…もう何人の祓い屋がこの呪いで不幸になったかわからない。亡くなった人もいる」



息をのんだ。それほどの大きな力の呪い。


「それで小僧は面倒事を押し付けられたというわけか。神崎は名の知れた祓い屋一家と聞いていたが、落ちぶれたものよな」


…そんな言い方しなくても。


「そうだね。だけどやれる者がやるしかないだろう?」


「…死に急ぎおって。それで、妖はなんと?」


「『遊んでやる。呪いを解きたければ私を祓ってみるがいい』と」


…遊びでそんなことをするなんて、なんてひどい。痛々しい腕の烙印をみて胸が張り裂けそうになる。


「ねえ、もし呪いが解けなかったら、どうなるの?」

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