はらり、ひとひら。


「妖祓い…か」


きっと彼は、私なんかよりずっと多くの妖と出会っていた。師匠は「名の知れた祓い屋」と言っていたから…相当力の強いひとなんだ。


ふと寂しげな背中を思い出す。彼はなんだか─闇に溶けて消えてしまいそうなんだ。



どうか願わくば、彼が独りで苦しみませんように。


少しでもいい、力になりたい。




「友達を守るんだ」


風に揺れる師匠の毛をそっと撫でた。




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