はらり、ひとひら。
「そろそろかとは、思っていたの…」
お母さんは静かに目を伏せた。小さく震えた「ごめんね…」という声が聞こえて心が壊れそうになる。
私は、なんて言えばいいのだろう。
ただ母が、深い悲しみに暮れているということだけは理解した。
「…て、ないよ?」
「え?」
「見てないよ!そんな気味の悪いもの、見るわけないじゃん!」
大げさに笑ってみる。うまく笑えているだろうか。
「そもそも妖怪なんて居ないって!海斗の漫画でも読んだの?変なお母さん」
「杏子…」